試薬:ルシパック

試薬の種類・特長

ルシパック4種の特長について教えてください。

ルシパック(試薬)は大きく分けて2種類、A3シリーズとPenシリーズがあります。
A3シリーズは、ATP+ADP+AMP量を測定、スティックの先端が綿棒でふき取り検査用のルシパック A3 Surfaceおよびルシパック A3 Surface(湿潤綿棒)と、先端がプラスチックで液体を測定用のルシパック A3 Waterがあります。
Penシリーズは、ATP+AMP量を測定、こちらもふき取り検査用のルシパック Penと、液体測定用のルシパック Pen-AQUAがあります。


*A3シリーズ, Penシリーズの両試薬とも、測定器であるルミテスター Smart、ルミテスターPD-20およびPD-30で、使用できます。詳細はこちらをご覧ください。 

ルシパックの100本入りと40本入りの違いについて教えてください。

ルシパックはアルミ袋に20本ずつ包装されています。
100本入りは5袋セットで希望小売価格24,000円、 40本入りは2袋セットで希望小売価格12,000円となります。

40本入り商品は以下の2種類があります。
・ルシパックA3 Surface 40 ・ルシパックPen 40
※ルシパックA3 WaterおよびPen-AQUAに40本入りはございません。


詳細はこちらをご覧ください。

使用・保管・廃棄

ルシパックの廃棄は、どのようにしたらよいですか。

滅菌処理の必要はありません。地域のプラスチック廃棄の条例に従って処分ください。
本体はポリプロピレン使用で、ガラス、PVC(ポリ塩化ビニル)は不使用です。(詳細はルシパック取扱い説明書PDF〔廃棄の方法〕をご覧ください)

ルシパックを使用する際の注意点を教えてください。

使用する際の注意点として6点ご紹介します。


①ルシパック(試薬)使用前

冷蔵庫からアルミ袋ごと取り出し、常温下に約20分なじませてください。
ルシパック(試薬)が反応しやすい温度は20~35℃です。
ルシパックを冷えたまま使用すると、低い測定値が出る原因となります。


②ふき取りの強さ

綿棒がしなる程度(約75 g)の強さで拭き取ってください。


③綿棒の角度と幅

ふき取り面に綿棒が5 ㎜程度接するようにしますと、自然とふき取り角度が10~20度になります。


④ふき取り面積

横10往復、隙間なく、合計で100 cm2の面積程度となるようにしてください。


⑤測定

綿棒を試薬部まで押し込んだら、試薬をしっかり溶かしてください。 溶解後すぐに測定器に入れて測定してください。


⑥阻害物質

ルシパックは殺菌剤や消毒剤などの濃度によっては、試薬の活性を妨げられ、低い測定値が出る可能性があります。 ふき取りは殺菌剤や消毒剤を使用する前に実施してください。


【ご使用上の注意点】にも掲載しておりますので、ご覧ください。 

ルシパックの品質保証期限は、どのくらいですか。

開封前は、2-8℃で製造後15ヶ月安定です。 品質保持期限はルシパックのアルミバック袋下部に記載してあります。 アルミバッグ開封後は、冷蔵保存で2週間以内にお使いください。その他、ご使用上の注意点もご確認下さい。

測定関係

綿棒を濡らした時の水分量はどれくらいですか。

綿球を3秒位水道水に濡らした場合、その水分量は、100μL位になります。

ルシパックの綿棒をぬらす水は、水道水でよいでしょうか。

通常の水道水であれば大丈夫です。
(詳細はルシパック 取扱い説明書PDF〔測定方法〕をご覧ください)
綿棒を水以外の液体でぬらすと、正確な測定値が出ない場合がありますので、使用しないでください。

ルシパックを冷凍してしまいました。使用できますか。

本体の中の液体の部分が膨張してテープの部分がはがれて液が漏れる可能性があるので使用できません。

ATPふき取り検査(A3法)は、結果が出るまでにどのくらいの時間がかかりますか。

測定にかかる時間は、約10秒です。
検査箇所をふき取る時間をいれても、1検体約1分の作業で、結果を得ることができます。

どのくらいの面積をふき取ったらいいでしょうか。

平面であれば10cm×10cm四方をふき取りが基本です。
10cm×10cm四方が取れない場合は、それぞれの検査場所ごとに一貫したふき取り方を固定しておく必要があります。

ATPふき取り検査(A3法)で測れない汚れはありますか。

ATP+ADP+AMP量を測定しているシステムですので、ATPやADP、AMPを含まない汚れは、検査できません。しかし、菌が繁殖可能な環境には、栄養となるATPやADP、AMPが存在します。すなわち、ATP+ADP+AMP量が低い衛生的な環境では、菌汚染は進みません。

検査面をどのようにふき取ったらよいのでしょうか。

綿棒の位置を変えながら綿球全体を使い、横向き方向、縦向き方向にまんべんなくふき取ります。
手指の場合、利き手の手の平を横方向、縦方向とまんべんなくふき取り、続いて、爪の間、指の間をふき取ります。

洗剤、漂白剤などは測定値に影響がありますか。

あります。
洗剤、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、アルコール等の殺菌剤、消毒剤などが、ふき取り表面に残っていると測定値に影響があります。ふき取り検査は、洗浄後、殺菌前におこなうことが、基本です。

ATPふき取り検査(A3法)と菌数との相関はありますか。

相関はありません。
この基準値はあくまでも洗浄度の目安です。 ATPふき取り検査(A3法)は、菌だけでなく、菌の餌となる汚れ(ATP+ADP+AMP)を測定しています。

ルシパック の先を触ってしまいました。測定値に影響はありますか。

影響があります。
ルシパックの綿棒部分の先に手指が触れたり、唾が混入すると、作業者の持っているATP、ADP、AMPが、付いてしまい測定値が大きくなってしまいます。その場合は、新しいルシパックで、再度ふき取り測定してください。

ルシパック A3 シリーズはATP、ADP、AMPを単独で測定することはできますか?

ATP、ADP、AMPを単体で測定することはできません。 ルシパックA3シリーズは、ATP+ADP+AMP量の合計を測定します。 また、ルシパックPenシリーズは、ATP+AMP量の合計を測定します。 詳しくは【ATPふき取り検査(A3法)とは】をご参照ください。

ATPふき取り検査のATP値は、どのくらいの誤差がでますか。

AOAC PTM認証を取得したルシパックA3 Surfaceのデータにおいて、5つの食材で調製した4つの希釈液をステンレスの表面に処理をして、ふき取り検査を実施した場合、標準偏差(RSD)は約20%でした。また、表面の材質の違い、汚れの成分、汚れの乾燥度合等で回収率が悪く誤差が大きくなる場合があります。 バラツキをできるだけ抑えるために、綿棒でのふき取り方を一定にすることも大切です。

一度測定したルシパックを時間がたってから再度測定したら
最初と比べて低い値になりました。
最初に測定した値と、時間が経ってから測定した値のどちらを信じればよいですか。

ATPふき取り検査は、汚れの中に存在するATPと試薬が反応して生じる発光量を数値化しています。 この反応は時間の経過とともに減衰するため、数値は徐々に低くなっていきます。 試薬を溶かしたら、時間をあけずにルミテスターで測定してください。 【なぜATPを測定するの?の中の「どうやって測定している?-ATPふき取り検査(A3法)の測定原理」では、 A3法の測定原理を説明していますのでご覧ください。

検査箇所を綿棒でふき取り後、何分以内に測定したらよいですか。

綿棒を本体に差し込んだ後は、直ちに測定してください。
時間をおいてしまうと発光量が減衰する為、数値は段々低くなります。やむをえず、直ちに測定できない場合は、綿棒を最後まで押し込まず、引き抜く前の位置に止めておき、測定時に綿棒を最後まで押し込んでください。この場合にも、数十分以内には測定してください。

ルシパック本体の下にある試薬が完全に溶けていないと測定できませんか。

測定できません。
溶け残りがあると測定に影響がでますので、完全に溶けたことを確認してから測定してください。

測定値が、基準値より大きい場合は、どうしたらよいですか。

この場合、次の作業が始まる前に再洗浄されねばならず、再洗浄の結果も測定されなければなりません。なぜ、「洗浄不良」であったかの原因を追究することがもっとも大切です。洗浄しても基準値を超えてしまう場合には、汚染の原因を突き止め、洗浄の仕方、部品の交換などの対策を取らなければなりません。

測定値が「0」になることは、ありますか。

キレイな水の場合測定値が「0」になることがあります。 その他、測定値が異常に低い場合の原因として以下のことが考えられます。
① 検査箇所に漂白剤など、試薬を阻害する物質が残っている
② 試薬が劣化している(吸湿など)
③ ルミテスターの動作不良(シャッター不良など)
④10℃以下の環境

検査箇所のふき取り面の温度は、測定に影響がありますか。

ATP、ADP、AMPは熱による影響はないため、ふき取り面の温度の影響はありません。

数値が普段より低い時は、何が影響していると考えられますか。

アルコール、洗剤、漂白剤等の阻害物の影響か、ルシパックを冷蔵庫から出して直後に測定した可能性があります。

検査で表示されたRLU値は、菌、何個に相当しますか。

ATPふき取り検査(A3法)では、汚れと菌由来のATP+ADP+AMPを同時に測定しているので、測定結果のRLUを菌数に置き換えることはできません。また、すべてが菌であったとしても、菌の種類・状態によって1菌あたりが、持っているATP+ADP+AMP量は異なるので、何個に相当するかを判断することはできません。

基準値

管理基準値は、どのようにして決めたのですか。

実際に、外食産業での厨房や食品工場のラインで多くのデータを取り、設定した値です。
日本では保健所が、この基準値を元に食品加工工場や外食厨房などを指導しています。本方法は、保健所および衛生指導団体の教本である「食品衛生検査指針」に記載されています。

基準値の設定方法を教えてください。

基準値を設定する方法はさまざまですが、以下の①~③の方法をご紹介いたします。


①メーカ―推奨基準値で設定(平滑なもの:200 RLU以下、凹凸があるもの傷つきやすいもの(樹脂製品など)500 RLU以下)
②現在の状態に即した基準値を設定する
③ユーザーの事例を参考に設定


詳細はこちらをご覧下さい。

なぜ、医療施設の環境衛生の推奨基準値を500 RLUにしているのですか。


菌が多く検出された場所
ATP+ADP+AMP量、菌数共に多く、洗い残しが多い状態です。


 ATP+ADP+AMP量が多い
菌はほとんど存在しないが、ATP+ADP+AMP量が多く洗い残しが多い状態です。洗い残しは菌の栄養分となるため、菌が増殖する原因となるリスクがあります。


 ATP+ADP+AMP量が少ない
ATP+ADP+AMP量、菌数共に少なく、洗い残しが少なくい、最も望ましい状態です。


このグラフは縦軸:培養法による菌数、横軸:ルミテスターによる発光量での関係を示しています。 このグラフでは、100 RLU以下ですと一般生菌は非検出(10 CFU未満)でした。 この結果より、内視鏡や、手術用の器具などは基準を100 RLUにしていますが、 医療現場のパソコンマウスやタッチパネル等、手の多く接触するところ(高頻度接触面)で、基準100RLUを提示することは非現実的です。 500 RLUの時は一般生菌数は100 CFUで低いレベルであり(クリーンルームの清潔レベル)、 且つ取得したATPデータの解析(度数分布表80パーセンタイル)から、高頻度接触面は推奨基準値500 RLU以下としました。 それぞれ環境が異なるため、現場レベルに合わせて、基準値は変更して頂く必要があります。

その他

製品のSDS(化学物質等安全データシート)、規格書の入手方法を教えてください。

SDS・規格書は、各製品の詳細ページ、または、こちらのページからご請求ください。

ATPふき取り検査(A3法)を始めるには、何が必要ですか。

綿棒と試薬が一体になった「ルシパック A3 Surface」と、測定機器「ルミテスター Smart」があれば、すぐに検査が、始められます。

ATPふき取り検査(A3法)とはどんな検査ですか。

ATPふき取り検査(A3法)とは、汚れが持っているATPとADP, AMPを指標とした清浄度検査です。検査の原理は、検査箇所を綿棒等でふき取り、綿棒で捕らえたATP(+ADP+AMP)を試薬と反応して発光させ、その発光量を測定して数値化(RLU)しています。そして、発光量の数値が高いほど、ATP(+ADP+AMP)量が多い、(=清浄度が低い・汚れている)と判断できます。

※キッコーマンバイオケミファのATPふき取り検査(A3法)では、ATPだけでなくADP, AMPも合わせて測定することができます。そのため、より高感度に菌の餌となる汚れ(ATP+ADP+AMP)の検出をする事ができます。

キッコーマンバイオケミファの ATPふき取り検査(A3法)が他社 ATPふき取り検査品と比べて優れている点は何ですか。

測定値が安定していること、感度が高いことです。ルシパック A3 Surfaceは、ATPが一部分解したADP、AMPを再生して同時に測ることができるため、高感度の測定を行うことができます。

測定単位RLUとは何ですか。

発生した光の量(=発光量)を示す単位であるRelative Light Unitの略です。 ATP+ADP+AMP 検査(A3法)の場合、ATP(+ADP+AMP)と試薬が反応して生じた光の量が、測定値(RLU)として表されます。そこで、RLU値が大きいと、ATP(+ADP+AMP)量が多い(=汚れが多い)、と判断できます。

試薬一体型綿棒(ルシパック)は、他社品の測定器でも使用できますか。

使用できません。
ルシパックは、ルミテスター Smart / PD-30 / PD-20専用です。

ATPとは、何ですか。

ATPは、Adenosine triphosphate(アデノシン三リン酸)の略語です。地球上の全ての生物のエネルギー源として存在する化学物質です。ATPは、生命活動がおこなわれている所には、必ず存在します。例えば、動物、植物、菌が持っており、そこから発生する、体液、死がい、食物残渣等にも存在します。つまり、「そこにATPが存在する」ということは、「そこに生物、あるいは生物の痕跡が存在する」証拠であり、菌の餌が存在する環境であるといえます。

なぜ食品取扱現場や医療現場の衛生検査に ATPふき取り検査(A3法)が有効なのですか。

食品取扱現場や、医療現場の衛生管理においては、その場で短時間に衛生状況を把握することが重要です。また見た目がきれいでも実際には汚れていることがあり、目視だけではなく何らかの科学的な手段が必要です。ATPふき取り検査(A3法)は、食品残渣、菌に含まれるATP+ADP+AMP量を測定するものであり、検査箇所のふき取り後、瞬時に清浄度が数値で表示されるので、大変効果的な方法です。

ADP、AMPとは、何ですか。

ADPは Adenosine dihosphate(アデノシン二リン酸)、AMPは Adenosine monohosphate(アデノシン一リン酸)の略語で、ATPの分解によって生じ、ATP同様、生物に広く存在する物質です。ATPが熱や長期保存、酵素等の働きにより分解しADP, AMPを生じます。ADP, AMPを多く含む汚れは、ATPだけ検出する検査では、正確に検出されない場合があります。ATPふき取り検査(A3法)は、ATPだけでなくADP, AMPも測定することにより、より幅広い種類の汚れを測定することができます。

二次汚染対策に必要なことは、何ですか。

食中毒には、食材からの汚染「一次汚染」と、調理器具や作業者の手指などからの汚染「二次汚染」があります。食中毒事故の半数以上は「二次汚染」が原因ですので、「二次汚染」を防ぐことは、食中毒対策には、欠かせません。「二次汚染」の防止は、洗浄と殺菌ができているかを、その場で、確認することが重要です。しかし、結果まで日数のかかる菌検査では確認できません。ATPふき取り検査(A3法)なら、その場で清浄度を把握でき、効果的な二次汚染対策が可能です。

ATPふき取り検査(A3法)は、どのようなところで使用されていますか。

現在、多くの食品取扱現場で活用されています。例えば、食品工場の製造ライン、惣菜・給食・外食の厨房、従業員の衛生指導(手洗い等)などがあります。また、最近は、病院内の衛生管理や衛生講習会にも使われ始めています。

清浄度検査とは、何ですか。

手指や食品加工設備機器、医療器具などが、十分に清浄に維持されているかどうかを調べる検査です。食品製造で関わる事故の多くは、二次汚染事故であるといわれています。また、医療現場では、院内感染が問題となっています。このような事故を防ぐために、清浄度検査は、非常に重要となります。しかし、従来の検査方法では煩雑で検査員によって結果が異なり、検査結果がすぐにわからないので、検査によって事故を未然に防ぐことはできませんでした。ATP+ADP+AMP 検査(A3法)なら、その場で結果を把握でき、効果的な清浄度検査が可能です。

ATPふき取り 検査(A3法)で菌数を検査することは出来ますか。

菌数を検査することは出来ません。
ATPふき取り検査(A3法)では、汚れと菌由来のATPとADP、AMPを同時に測定しています。ATP+ADP+AMP量が低い環境であることが、本当に衛生的な環境であると考えています。

肉などの食品の表面のふき取り検査をすることができますか。

できません。
ATPふき取り検査(A3法)は、ATPとADP、AMPの量を指標とし、ATP+ADP+AMP量が多いほど、汚れていると判断します。また、汚れ、菌、肉由来、それぞれのATPは、区別することができません。そのため、肉自体が持っているATPが大量に存在する肉表面のふき取り検査しても、汚染状況は、わかりません。その他の食品表面についても同様です。ATPふき取り検査(A3法)は、あくまでも洗浄した場所に汚れ(食物残渣、菌、汚れ等)が、残っていないか確認する検査法です。

ATPふき取り検査はウイルスの測定ができますか?

コロナを含めたウイルス自体は、ATPを持っていないため、直接、ウイルスを測ることはできません。 ATPふき取り検査は、細胞由来の有機物に含まれるATP、ADP、AMPを汚れの指標とする清浄度検査です。 感染リスクを低減するために以下のような目的で使用されます。


①唾液、鼻水、手で運んだ汚れなどには、ウイルスが付着している可能性があるため、清掃、洗浄により、有機物の汚れが取り除けたかを確認するため(間接的な使用)
②汚れが多く存在すると消毒の効果を弱めるために、汚れが除去できたか、清掃・洗浄を徹底するため 以下のページもあわせてご参照ください。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する弊社製品へのお問い合わせについて】 

ルシパックA3/Penは、ルミテスター Smartで使用できますか。

使用できます。
ルシパック A3/Pen は、ルミテスター SmartとPD-30(PD-20) の専用試薬です。