微生物検査、ATPふき取り検査(A3法)、と聞いてどんな違いがあると思いますか。
- 微生物検査は菌の種類を判定し、菌数を測定する方法
- ATPふき取り検査(A3法)はATP, ADP, AMPを汚れの指標とした検査
ここでは微生物検査とATPふき取り検査について、その検査方法や測定時間、また発見出来るリスクの違いについてご説明します。
微生物検査とは
- 原材料を含めた食品、製造設備、および調理器具などがどれだけ細菌に汚染されているかを知ることができる検査です。
- 原材料を含めた食品の検査である製品検査と、製造設備、調理器具などがきれいになったかの清浄度検査(環境検査)の両方を行うことができます。
- 一般生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ球菌など菌の種類によって試験方法が異なりますが、結果が出るまでに約1~5日ほど要します。
- 検査を行うためには培養技術の習得が不可欠です。
ATPふき取り検査(A3法)とは
- ATPふき取り検査(A3法)は、洗浄・清掃した箇所の洗浄・清掃評価を、その場で数値化します。
- 食品等の製造設備、調理器具、高頻度接触面、医療器具など洗浄後にきれいになったかを確認する清浄度検査(環境検査)に用います。
- ルミテスター&ルシパックを用いて、誰でも簡単に、約10秒の測定で結果が出ます。数値で表示されるため、客観的な管理が可能です。
発見できるリスクの違い
洗浄後のまな板を例に、微生物検査とATPふき取り検査(A3法)で、判定結果にどのようなの違いがあるかご紹介します。
①のまな板は、微生物検査、ATPふき取り検査ともに不合格!
菌も食物残渣も多く残っている状態です。この場合、微生物検査は菌数がカウントされます。ATPふき取り検査(A3法)でも各々で設定された基準値より高い測定値を示すことが多いため、ともに判定は、「不合格」です。
注目すべきは、②のまな板!菌はいませんが、食物残渣は残っています。
微生物検査では「合格」ですが、ATPふき取り検査(A3法)では設定された基準値より高い値を示すことが想定され、「不合格」となります。さらに、②の状態は食品残渣が残っているため、アルコールによる殺菌効果も弱まり、菌が短時間で増殖する可能性があり、隠れたリスクです。
③のまな板は、菌も食物残渣もありません。
しっかり洗浄されていますので、菌の数はゼロ、ATPふき取り検査(A3法)でも設定された基準より低い値を示すことが想定されます。そのため、微生物検査、ATPふき取り検査(A3法)ともに「合格」です。
このように、微生物検査では結果が出るまでに時間がかかるだけでなく、菌の増殖に適した状態であることを見過ごしてしまいます。ATPふき取り検査(A3法)は、その場で簡単に、有機物汚れの残り具合や、菌の増殖リスクを発見できる洗浄評価ツールです。
ATPふき取り検査(A3法)を活用し、微生物や食品残渣などの有機物汚れを残さない、清潔な状態をめざしましょう!