製品トラブルを防ぐためには、洗浄により製造設備がキレイになったことを確認することが重要です。ATPふき取り検査(A3法)は結果を数値で得られるため、洗浄作業の結果を記録・管理することができます。一般社団法人海洋水産システム協会発行の「水産物の価値を守るための産地市場の品質・衛生管理」にも掲載されています。HACCP、ISO22000といった食品安全規格に組み込むなど、現場の衛生管理水準の向上、スタッフの衛生意識の向上などにお役立ていただけます。キレイな環境で製造し、自信をもってお客様に安心安全な製品をお届けしましょう!

 

導入までの流れ

 ATPふき取り検査(A3法)を導入するステップは、①検査ポイントの選定、②洗浄作業の改善、③基準値を決めて運用、の3ステップです。詳細な導入までの流れは運用マニュアルをご覧ください。ここでは簡単な流れをご紹介いたします。

 

 

  • ステップ1:ルシパック試薬を1~2キット使用し、複雑な構造で洗浄しにくい箇所、製造設備で分解洗浄する箇所などを中心にふき取り、測定しましょう。
  • ステップ2:特に測定値が高く、汚れが残りやすい箇所は、洗浄作業を見直します。そして、ATPふき取り検査(A3法)の測定値が下がり、洗浄作業の改善が出来たかを確認します。
  • ステップ3:ステップ2で測定値が下がったら、キレイな衛生状態を保つため、洗浄の確認として適切な基準値を決めます。初めから測定値が低い検査ポイントも、衛生管理に重要な場合は検査ポイントとして基準値を設定し、検査ポイントとして運用しましょう。

 

検査ポイント、検査頻度例

複雑な構造で洗い残しが発生しやすい箇所、魚が直接触れて汚れの中心となる箇所などの洗浄確認に大変有効です。
検査例として、1ヶ月あたり20日稼働した場合、121本の測定例をご紹介します。

 

エリア 検査
ポイント
理由 ふき取り検査の
タイミング
頻度 検査回数 使用本数
(1ヶ月あたり)
ヘッドカッター 準備台

複雑な構造

魚が触れて、汚れの中心となる箇所

製造前の点検

最終洗浄後

毎週 2 8本

V字刃

毎週 2 8本
ガッターマシン 丸刃 毎週 2 8本
丸ブラシ 毎週 2 8本
ベルト 毎週 2 8本
フィーレマシン

丸刃

毎週

2 8本
ベルト 毎週 2 8本
受け内底面 毎週 2 8本
調理器具等 包丁 高頻度で日々使用する器具類 毎週 2 8本
まな板 毎週 2 8本
作業台 毎週 2 8本
トロ箱 毎週 2 8本
その他 その他分解洗浄箇所 手技による洗浄不良の確認 分解洗浄時の点検 毎月 20 20本
トラブル箇所 原因箇所の早期特定 製品トラブル発生時 不定期 50
手指 食中毒菌やウイルスの交叉汚染、接触感染

定期検査(手洗い後毎月):5名
不定期検査:新規メンバー受入時の研修

5 5本

 

検査ポイントの考え方

  • 複雑な構造で、魚が直接触れて汚れの中心となる箇所
  • 洗い残しが発生しやすい箇所
  • その他、既に菌検査を実施している箇所

 

基準値の設定方法

  1. 弊社の推奨基準値
  2. 現場データ分布から設定
  3. 他社導入事例を参考

詳しくは、運用マニュアルをご覧ください。 

弊社の推奨基準値

検査ポイント 推奨基準値
V字刃、受け内底面、包丁などの平滑面(ステンレス製など) 200
ベルト、トロ箱、まな板などの凹凸面(樹脂製品など) 500
手指 2,000

  

検査頻度の考え方 

頻度 検査ポイントの例
毎日

分解洗浄する製造設備、部品
測定値にばらつきがある箇所
重要な一般衛生管理点(OPRP)の箇所

週1回

測定値が安定して低い箇所
一般衛生管理点(PRP)

月1回

衛生教育としての手指衛生

不定期

製品事故発生時の原因追及
抜き打ち検査の実施項目に組み込む

このような考え方で食品衛生規格に組込むなど、検査頻度を定め、管理・運用しましょう。

 

測定結果の考え方

ATPふき取り検査(A3法)を行うと、測定値がバラつき安定しない、測定値が高い、といったことがよくあります。そのような時は以下を検討してみましょう。

  • 汚染箇所の特性を調査
  • 洗浄作業手順の確認、見直し
  • 洗浄マニュアルの確認、改訂
  • 基準値の見直し(運用マニュアル参照

洗浄作業の品質の証として、安定的に低い測定値を目指していきましょう!

 

導入事例

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